私が31歳の時、宇都宮から東京に転勤しました。
当時、東京では新たに分譲デベロッパーとして起業したての会社がたくさんありました。
起業して、まだ数年、自分とそんなに年齢が変わらない若い社長に若いスタッフ。
勢いがあります。が、所詮、経営基盤が不安定な零細企業。
しかし、そんな会社に求人でたくさん人が集まり、たくさんの人が入社してきます。
そういう会社の新人研修で「話してくれない?」とメーカーの一営業マンである私に声をかけていただき、伺うことがボチボチありました。
そこで研修を取り仕切っているのが、たいがいはリクルート出身の人たち。
求人から入社後の研修までの仕事をまるまる受けて、ぽっと出の中小企業を「ベンチャー企業」に祀り上げて、実際に実力の伴った企業に成長させてしまう凄腕を見せつけられたことが多々ありました。
彼ら、彼女らと話をすると、【リクルート出身】をことのほか誇りにしています。
やはり年齢の変わらない彼ら、彼女らが、独立してイキイキと仕事をしているの観て、当時の私には眩しくさえ感じました。
ゴールデンウィークで読み終えた本。
『江副浩正』
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ
なぜ彼にだけ見えたのか。
なぜ彼にだけできたのか。
そして、なぜ彼は裁かれたのか。
稀代の起業家「江副浩正の仕事と生涯」正伝
500ページ近い厚みで、かなりの読み応え。
「リクルート」と聞くと、真っ先に「リクルート事件」と記憶がつながる方も多いと思います。
創業者である(リクルート事件の主役でもある)江副浩正氏の功績には、以前からとても関心がありました。
ですので、リクルート関連の本はこれまでもいろいろ読んできました。
この本では、江副さんの出生から最期まで、人生の一場面一場面を丁寧に押さえられていて、どんな決断と行動をしてきたのか、その時なぜそう考えたのかがわかりました。
創業まもない1970年にリクルートに入社し江副さんと一緒に働いた著者お二人があとがきで同じことを言われています。
生涯にわたって、事業を興し続けた男、未来を先取りし、時代の先頭を走った男、全身をかけて時代に対峙した男。起業家江副浩正の実像を知って欲しくて、私たちは書いた。若い人は江副浩正の思考と軌跡を知って、刺激を受けて、野心を燃やして欲しい。同時に、江副が犯した過誤からも学んで、同じ轍を踏まないでもらいたいと願っている。いまの閉塞感ただよう日本には、社会を変えようと挑む起業家、すなわち第二、第三の江副浩正が必要なのだ。
江副さんが種を蒔き、苗を育て、大樹にしたリクルートイズムは、枝を伸ばし、種を飛ばし、さまざまな大地で根を張り、また種を飛ばした。
この江副浩正伝も、その小さな種の一つになれば、幸いである。
この閉塞感ただよう「沈みゆく日本」は、社会を変えようとする第二、第三の江副浩正を、いま何人も必要としている。
いでよ、新たなる江副浩正。江副さんの犯した轍を踏まずに、この困難な時代を、リクルートイズムで生き延びるのだ。
『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ』
微力ながら、想いを受け取り、繋げていきます。